在留邦人向け

 「安全の手引き」

 

(オタワ市及びその周辺にお住まいの皆様へ)

 

 

平成22年4月1日

在カナダ日本国大使館

Ⅰ 序言

 

  カナダの治安は大都市の一部の地域などを除けば、米国に比べて良いとの印象をお持ちかもしれません。しかし、凶悪犯罪は決して少ないとはいえず、拳銃を使用した殺人、銀行強盗、大学キャンパス内での婦女暴行、車輌使用による婦女拉致・暴行など、悪質な犯罪が発生しています。侵入盗、麻薬事件、車上狙い、自動車盗難、スリ・置引き或いは詐欺といった犯罪も多発しており、路線バス内での暴行事件も増えています。犯罪に巻き込まれてオタワでの生活に悔いが残らないように、十分に安全対策を講じるため、本マニュアルを参考にして頂ければと思います。

 

Ⅱ 防犯の手引き

 

(1)防犯の基本的な心構え

安全対策の根幹をなすものは、自分と家族の安全は自分達で守るという「安全対策意識の高揚」が基本であり、又一番大切なことです。警察等の防犯対策のみに依存することなく、犯罪の発生を新聞・テレビ等で知った時は、他人事と軽視せず、同様な犯罪が自分の身近でも起こり得るという警戒心を持って下さい。この警戒心や安全に対する関心が被害の予防につながるといえましょう。

 

(2)ここ数年のオタワの犯罪発生件数(オタワ市警察統計)

2004年  47,614件

2005年  48,495件

2006年  47,355件

2007年  44,536件

2008年  41,056件

減少傾向にあるもののオタワ市内における人口10万人当たりの犯罪率をみると08年中の刑法犯は4,571件と日本の同年犯罪率1,424件と比較して3倍以上、東京の同1,695件と比較しても2.5倍以上の高い水準であり、オタワの犯罪発生率は決して低い水準ではなく、油断はできません。

 

(3)防犯のための具体的注意事項

(ⅰ)住居対策

・住宅地域の治安情勢を常にチェックする

・住居の立地・周辺環境(敷地への出入りが隣家から見渡せるか、侵入者に侵入をためらわせるような位置関係か)を認識する

・侵入警報機装置を設置する

・住居周囲の夜間における明るさを確認する

・玄関など外部からの出入り口(ドア)を強化し、鍵も複数取付ける

・良好な隣人関係を保持(不在時、緊急時の協力)する

・外出及び長期不在を悟られない工夫(ランプ・タイマーの設置等)をする

 

(ⅱ)外出時の安全対策

・繁華街をはじめ、治安が良くない場所に夜間一人で出歩かない(特にバイワード・マーケットを中心とする市内中心部、市内西部のチャイナタウン付近等) 

・見知らぬ人、初対面の人の誘いには軽々しく乗らない

・言語、地理、習慣に不案内な外国にいることを忘れず、日本の時よりも用心する

・自動車内に貴重品が入っていると思わせるバック等を放置したまま駐車しない

・自動車用盗難警報装置を設置する

・当地の交通事情を十分承知した上で安全運転を心掛ける

・カーナビゲーションを設定する場合は高速道路を優先にし、最短時間、最短距離を選択することによる見知らぬ危険地帯の通過を回避する

・歩行者であっても事故に巻き込まれないよう周りの交通状況に注意する

 

(ⅲ)誘拐対策

・子供に対する指導・教育(知らない人についていかない、知らない人の車に乗らない、登下校時の注意等)を徹底する

・自宅付近や通学路における不審人物の徘徊、不審車輌の駐車に注意する

・家族の行動、居場所を常に把握し、相互の連絡を保つ

・行動をパターン化しない

 

(4)交通事情と事故対策

自動車走行中の携帯電話等の操作は交通違反の対象となります。又、冬季は雪道での安全運転を心がける必要があります。スピードは控えめに、急ブレーキは絶対に避け、十分な車間距離を保ちましょう。万一事故が発生した場合には、何よりも負傷者の救護を優先し、その上で警察(911)に連絡し、必要ならば救急車の要請をもして下さい。併せて加入する保険会社にも連絡することが必要です。日本同様飲酒運転は重罪です。絶対に飲酒運転は行わないで下さい。

 

(5)不幸にして犯罪等の被害に遭った場合

(ⅰ)強盗等の犯人と対峙することとなった場合には、抵抗せず相手の要求どおり金品を与えその場から離れさせることを考えましょう。犯人が拳銃や刃物等を所持している可能性が十分にあります。

 

(ⅱ)警察への通報(911番)。この911で同時に消防署への連絡及び救急車の要請もできます。事後の盗難等の保険金請求のため、警察から事件番号を聞いておくことも必要です。

 

(6)緊急連絡先

(ⅰ)在カナダ日本国大使館(オンタリオ州オタワ市(及び周辺)を担当)

電話番号:(613)241-8541 内線123,133(領事班)

勤務時間外や休祭日など緊急・人道的事件が発生した場合の連絡先 電話番号:(613)794-6381(又は6382)

 

(ⅱ)在トロント日本総領事館(オタワ市(及び周辺)以外のオンタリオ州を担当)電話番号:(416)363-7038

在モントリオール日本総領事館(ケベック州、ニューファンドランド・ラブラドール州、プリンスエドワードアイランド州、ノバスコシア州、ニューブランズウィック州を担当)電話番号:(514)866-3429

 

(ⅲ)警察、消防、救急車:911

 

(ⅳ)病院(病気、けが)

    ・オタワ病院シビック・キャンパス救急サービス(Emergency Service, Civic Campus, Ottawa Hospital 所在地 1053 Carling Ave. )

     (緊急)電話:(613)761-4621

    ・オタワ病院ジェネラル・キャンパス(General Campus 所在地501 Smyth Rd.)

     (緊急)電話:(613)737-8000

    ・子供病院(Children's Hospital of Eastern Ontario 所在地 401 Smyth Rd.)

     (緊急)電話:(613)737-2328

 

(ⅴ)カナダ移民局(在留資格やビザの問合せ)

直通無料電話:1-888-242-2100("Call centre")

オタワ移民センター(Ottawa Immigration Center 所在地200 Catherine St. Ground Floor)

 

(ⅵ)法律相談

LAW SOCIETY OF UPPER CANADA による電話法律相談

30分6ドルの電話相談料で、弁護士を紹介してくれます。

Lawyer Referral Services電話番号:1-900-565-4577

Osgoode Hall 所在地130 Queen St. W. Toronto, ON. M5H 2N6

 

Ⅲ 在留邦人用緊急事態対処マニュアル

 

(1)心構え、準備

(ⅰ)連絡体制の整備

  カナダは先進民主主義国で政治面では安定しており、隣国との戦争、内戦、クーデター、あるいは大規模な暴動等はあまり想定されず、また、特にオタワ周辺地域では地震や暴風雨などの大規模な自然災害も少ないことから、大規模な緊急事態の発生の可能性は比較的低いと想定されています。しかしながら、グローバル化した現在、世界中で色々な形の新たなリスクの存在も指摘されています。例えば、同時多発テロ、鳥インフルエンザ、SARS、大寒波の発生等の可能性はオタワ周辺地域においても否定することはできません。この種の緊急事態はいつ発生するか事前に予想することはできません。あらかじめその様な場合の家族間、会社内あるいは友人知人間での緊急連絡方法を決めておいて下さるようお願いします。また、お互いに住所を極力明確にするようにして下さい。また、在留届(e-mailアドレスを含め)の届出や連絡先変更がある場合の届出を励行して下さい。

緊急事態発生の際には、当館より在留届の連絡先に情報を提供しますが、電話回線が使用できなくなる場合には、NHK海外放送により必要な連絡を行うこともあり得ます。短波放送受信可能なラジオ(電池の準備もお忘れなく)を備えることをお勧めします。

 

(ⅱ)一時避難場所

緊急事態発生の際には、常にその状況の進展に注意を払い、情報を収集し、危険な場所に近づかないことを心掛けて下さい。万が一緊急事態に巻き込まれそうになった場合、取りあえずの避難場所について、自分がどこにいるのか(勤務先、通勤通学途上、自宅等)、どの様な事態に巻き込まれそうか等、いくつかのケースをあらかじめ想定して一時避難場所を検討されることをお勧めします(外部との連絡可能な場所が望ましい)。

 

(ⅲ)緊急事態における携行品など、非常用物資の準備

旅券、現金、貴金属など最低限必要な物は、直ちに持ち出せるようあらかじめまとめて保管(勿論窃盗等への配慮をお忘れなく)して置いて下さい。

緊急時に一定期間自宅での待機をお願いすることもありますので、非常用食糧、医薬品、燃料などを最低5日間分は準備しておかれることをお勧めします。

 

(ⅳ)車のガソリンの予備

2005年夏のハリケーン・カトリーナがニューオリンズ等米国南部を襲った際には、車で避難できた人々とできなかった人々との間で状況が大きく異なりました。当地においても、大寒波で大規模な停電が発生した場合等、避難のためにも、暖をとるためにも日頃から車のガソリンの給油の備えを講じておく必要があります。

 

(ⅴ)「全米・カナダ邦人安否確認システム」の利用方法確認

大規模な災害が発生した場合、電話回線が混雑したり、電話会社がサービスを停止したりすることがあります。被災地までの電話がつながりにくい状況となり、日本の家族等と連絡が出来ない可能性があります。外務省ではこのような事態に備え、被災地にいる方が手軽に公衆電話から無料で自らの安否に関する伝言をデータセンターに残すことができ、それを日本にいる家族がいつでも、直接聞くことによって、被災地にいる方の安否を確認することのできるシステムを立ち上げました。ただし、本システムは平常時には利用出来ません。

緊急事態発生時に備え、本システムの利用方法、電話番号等詳細は当館ホームページ(htt://www.ca.emb-japan.go.jp)でご確認下さい。

 

(2)緊急時の行動

(ⅰ)情勢の把握

緊急事態が発生し、又は発生する恐れのある場合に、当館は邦人保護に万全を期するため,所要の情報収集、情報判断及び対策の策定を行い、在留届に基づき通報いたします。平静を保ち、流言飛語に惑わされたり、群集心理に巻き込まれたりすることのないようお願いします。

緊急事態発生の際には、現地、海外放送、衛星放送テレビ等の視聴による情報収集を各自心がけて下さい。

 

(ⅱ)当館への通報など

現場の状況のうち通報する必要があると考えられるものは、随時当館に連絡願います。その他の在留邦人の皆様への貴重な情報となります。

自分や家族又は他の邦人の生命・身体・財産に危害が及び、又は及ぶ恐れがある時は、迅速且つ具体的にその状況を当館に通報して下さい。

緊急事態発生の際には、お互いに助け合って対応に当たることも必要となります。当館より在留邦人の皆様に種々御助力をお願いすることもございますので、宜しくお願い致します。

 

(ⅲ)国外への退避

事態が悪化し、各自の判断により自主的に、あるいは当館の指示により帰国又は第三国等へ退避する場合(例えば、近隣地域での鳥インフルエンザの発生拡大の際等)は、その旨を当館へ通報して下さい。

(当館への連絡が困難な場合は)日本の外務省海外邦人安全課(電話:011-81-3-5501-8160)に連絡するよう努力して下さい。

当館が「退避勧告」を発出した場合、自家用車や、一般の公共交通機関(商用機、列車、バス等)が安全な形で運行している間には、それを使って可能な限り早急に退避して下さい。一般商業便等の運行がなくなった場合、あるいは満席の場合などは臨時便の利用、あるいはチャーター便の手配などにより、退避することが必要となってくることもあり得ますので、当館の指示に従うようにお願いします。

事態が切迫し、当館より退避又は避難のための集結を指示された場合には、当館より指定された一時避難先に集結して下さい。その際、しばらくの間同避難先で待機する必要が生ずる場合も想定されますので、可能であれば非常用物資を持参下さるようお願いします。他方、緊急時には自分及び家族の生命、身体の安全を第一に考え、その他の携行荷物は必要最低限にしていただくようお願いします。

 

Ⅳ 結語

 

全世界に在留する邦人数は急増しており、中でも米国(ハワイ、グアムを含む)及びカナダには、全世界の在留邦人数の約4割を占める約40万人の在留邦人が居住しています。平成20年10月1日現在、オタワ市には1,344名の在留邦人の方々が居住されています。在留邦人の皆様方が緊急時に的確、迅速に対応できるよう重要な諸点をまとめてみました。在留邦人の皆様方は本マニュアルを参考に、緊急時に落ち着いて対処できるよう日頃より心がけて頂ければと思います。

 

以上