2014年度 加日文学賞 受賞者の発表 (カナダ芸術審議会)

 


 

 カナダの芸術の促進を育成するカナダ芸術審議会 (Canada Council for the Arts) は、本年度の加日文学賞の受賞者を発表しました。この賞は、日本に関するテーマを扱った、両国の相互理解促進に寄与する文学的に優れたカナダ人作家の作品に対して2年毎に授与されます。

 

 英語書籍部門には、ルース・オゼキ氏のA Tale for the Time Being (Viking Adult, 2013)が選ばれました。 A Tale for the Time Beingは、2013年のブッカ―賞最終候補となった他、2015年の国際IMPACダブリン文学賞にもノミネートされています。日本語版も「あるときの物語」(早川書房)として出版されています。

 

 仏語書籍部門では、ミシェル・レニエ氏によるSeize tableaux du Mont Sakurajima (éditions Phillippe Picquier, 2012)が選ばれました。レニエ氏にとっては2000年度に続き、2度目の受賞となります。

  

 

   

 

 

 

ルース・オゼキ氏の作品に対する審査員の選評:

 

「我々は、ルース・オゼキ氏の小説、A Tale for the Time Beingにおけるその創造性、独創性、感情の深さ、そして非常に現実味のある登場人物たちに大いに感銘を受けた。

 

時空を超えた登場人物たちのやりとりは、実際には一度も顔を合わせたこともないにもかかわらず、互いに絡み合い、小説の中で共感を生むことにより、読者側にも同様に共感を呼び、フィクションにおいて最大限の堅実な世界を築き上げている。本書は受賞に値する偉大な作品である。」

 

 

 

 

 

 

 

 

   

 

 

 

 

ミシェル・レニエ氏の作品に対する審査員の選評:

 

「綿密な調査に裏付けられ、この熟練した構成を持つ小説は、非常に優れた文体で書かれている。リアルで魅力的な登場人物、明快な描写、抒情的で壮麗な精神の高まりがそれぞれ宝石のように、スリリングなストーリーの中で一体化している。」