トルドー首相の日本公式訪問と日加首脳会談

 

 ジャスティン・トルドー・カナダ首相は、ソフィー・グレゴワール夫人を伴い、G7伊勢志摩サミットの直前の5月23日から25日まで、公式実務訪問賓客として日本を訪問しました。トルドー首相は、24日に、明治神宮参拝、日本の自動車メーカー各社の幹部との会談、天皇皇后両陛下への謁見などの日程をこなした後、安倍晋三内閣総理大臣との首脳会談、共同記者発表、夕食会に出席しました。トルドー首相の訪日に際しては、門司駐カナダ大使も一時帰国し、首脳会談ほかの行事に同席しました。
 なお、我が国は、英国、米国に続きトルドー首相が公式訪問を行った3番目の国になります。

 

儀じょう隊による栄誉礼及び儀じょう

(写真提供:内閣広報室)

握手を交わす両首脳

(写真提供:内閣広報室)

日・カナダ首脳会議

(写真提供:内閣広報室)

 

 日加首脳会談は、5月24日午後6時25分頃から約1時間行われました。同会談には、門司健次郎駐カナダ大使も同席しました。概要は以下のとおりです。

 

1.冒頭発言

(1)安倍総理から、訪日を心から歓迎する旨述べ、これまで二度の首脳会談を通じて、お互いの理解を深めてきた、伊勢志摩サミットの成功に向け、日加間の連携を改めて確認したい、また、二国間協力についても幅広く意見を交換したい旨述べました。

(2)これに対し、トルドー首相から、訪日を楽しみにしていた、日本の方々に温かく迎えていただきうれしい、日本との間には友好関係を更に発展させる大いなる可能性があり、今回、アジアで初めての二国間訪問として日本を訪問した、日本はアジア太平洋の重要なパートナーであり、伊勢志摩サミットでの安倍総理のリーダーシップに大いに期待している旨述べました。

(3)両首脳は、長い歴史を有する二国間及び国際場裡での協力関係を更に発展させ、「日加協力新時代」を切り拓いていくことで一致しました。

 

2.G7伊勢志摩サミット

 両首脳は、サミットの最大のテーマである世界経済について、不透明さを増す現下の世界経済の状況を踏まえ、強固で、持続可能な、かつ均衡ある成長を実現するための対応について議論し、世界経済や国際秩序に対する挑戦に対して、G7が主導して対応していくことで一致しました。

 

3.二国間協力関係

(1)安倍総理から、日加安保協力をより深化させたい旨述べ、トルドー首相から、PKOを含む安保協力を進めていきたい旨の発言がありました。

(2)また、安倍総理から、日加間の相互理解促進のため、カナダの大学での日本研究を支援したい旨述べ、トルドー首相から、日本研究支援を歓迎する旨の発言がありました。

(3)両首脳は、インフラ、エネルギー、科学技術、ビジネス環境・投資、観光・学生交流の5分野に焦点を当て、今日的ニーズに合致するよう日加次官級経済協議(JEC)を進化させることで一致できたことを歓迎し、早期に「新生JEC」を開催し、協力を進めていくことで一致しました。

(4)さらに、安倍総理から、カナダからのLNG輸出の早期実現やビジネス環境改善に向けて迅速で目に見える動きが必要であり、トルドー首相の指導力に期待する旨述べたのに対し、トルドー首相は、これらの問題を真剣に受け止めており、具体的な対応を進めたい旨述べました。

 

4.地域情勢等

(1)両首脳は、北朝鮮を含む東アジア情勢等についても意見交換を行い、北朝鮮に対して、安保理決議の厳格な履行確保などを通じて、実効的な圧力をかけていくことを確認するとともに、伊勢志摩サミットにおいて、南シナ海、ロシア、ウクライナといった地域情勢についても戦略的な議論を行うことで一致しました。

(2)安倍総理から、TPP協定の早期発効は、日加経済関係を強化する上でも重要であり、日本の国会承認を早期に進めるべく努めている旨述べ、両首脳は、それぞれ国内で議論を進めていくことを確認しました。

 

5.国際場裡における協力

両首脳は、パリ協定の早期発効とその効果的な実施に向けて連携することを確認し、気候変動を含むグローバルな課題への対応について引き続き協力していくことで一致しました。

 

  

共同記者会見

(写真提供:内閣広報室)