門司大使のオンタリオ州公式訪問

2015年5月27日~31日 

 


 門司大使夫妻は、5月27~31日にオンタリオ州を公式訪問しました。今回の訪問は、4月15日にカナダに着任した門司大使による初めての公式訪問となりました。


 オンタリオ州の面積は108万平方キロメートル(日本の約2.8倍)、人口は1,285万人(2011年)で、その3割近くが外国生まれの移民です。州都トロント市の人口は2013年に279万人を超え、ニューヨーク、ロサンゼルスに次いで北米で3番目に大きい都市になりました。大トロント圏では人口は600万人を超えています。トロントには日本総領事館が置かれており、中山総領事も今回の門司大使の公式訪問の多くの行事に同行しました。


 門司大使は、クイーンズ・パークにある州議会議事堂で、エリザベス・ドズウェル・オンタリオ州副総督、キャサリン・ウィン州首相、デーブ・ラバック州議会議長と会談しました。これらの会談では、オンタリオ州に進出している日本企業の状況や、トロントの日系コミュニティーによる活動などが話題となりました。また、日本とオンタリオ州が政治、経済、文化などの分野で協力関係を一段と強化していく重要性について、意見交換が行われました。

  

 

 

 

 

 

オンタリオ議会(通称クイーンズ・パーク)

 

 

 

 

州議会内部の様子

     
 

 

会談後の門司大使夫妻とドズウェル副総督
© Office of the Lieutenant Governor of Ontario

 

 

 

 

 

会談後の門司大使とウィン首相

© Office of the Premier of Ontario

 

 

 

 

中山総領事(左)、ラバック議長、門司大使

© Legislative Assembly of Ontario

 

 

 

 

 オンタリオ州のGDPは6,745億カナダドル(名目。2012年)で、カナダ全体のGDPの約4割を占めています。オンタリオ州に進出している日系企業は約250社で、同州の経済発展、雇用拡大に貢献しています。今回の公式訪問中に、門司大使は現地日系企業の関係者と意見交換を行いました。また、トヨタ自動車と、ビール会社のスリーマンブリュワリーズを訪問し、工場を視察しました。


 トヨタ自動車の工場は、門司大使が訪問したケンブリッジ工場のほか、ウッドストックにもあり、二つの工場を合わせた従業員数は約8,000人、2014年の製造自動車台数は約58万台です。門司大使は工場で自動車の製造過程を視察するとともに、同社の関係者から工場の生産体制などについて説明を受けました。


 1834年に創業されたスリーマンブリュワリーズは、カナダ第3位のビール会社で、2006年にサッポロビールの100%出資子会社となりました。従来のスリーマンブランドの他、サッポロビールの生産、販売を行っています。門司大使はゲルフ市にある同社の工場を訪問して、ビールの製造過程を視察し、関係者から同社の沿革やビールの生産、販売体制などについて説明を受けました。

 

 

 

工場視察後の門司大使夫妻とトヨタ自動車関係者

 

 

 

 

 

門司大使夫妻とスリーマンブリュワリーズ関係者

 

 

 

 

 

 5月28日には、カナダ最大の日本酒イベント「カンパイ・トロント」がトロントで開催されました。日本酒造青年協議会から「酒サムライ」の称号を受けている門司大使は、このイベントに出席し、来場者への挨拶を行いました。日本からも数多くの蔵元が参加したカンパイ・トロントは非常に盛況で、今年は約900名が来場し、カナダで日本酒の人気が高まっていることが感じられました。

 

 

 

門司大使の挨拶

 

 

 

 

関係者らと

 

 

 

大盛況の会場 (© Ray Yabuta)

 

 

 

 

 門司大使はトロント大学で、メリック・ガートラー・トロント大学学長、スティーブン・トゥープ・マンク国際問題研究所長とそれぞれ会談しました。これらの会談では、トロント大学と日本の研究機関との協力関係をどのように強化していくかについて、意見交換が行われたほか、日本とカナダの関係や、アジア情勢などについて議論が交わされました。また、カナダの代表的日刊紙グローブ・アンド・メールの編集部を訪問し、フィリップ・クラウリー社主、デビッド・ウォルムスリー編集長と、カナダの政治、経済事情や、日加関係などについて意見交換を行いました。更に、門司大使は、ロイヤル・オンタリオ博物館を訪問し、高円宮殿下日本ギャラリーや有名な恐竜の化石のコレクションを鑑賞しました。

 

 

 

ガ-トラー・トロント大学学長と

 

 

 

 

トゥープ・マンク国際問題研究所長と

 

 

グローブ・アンド・メール紙のウォルムスリー編集長(左)、クラウリー社主と

 

 

 

 

ロイヤル・オンタリオ博物館

 

 

 

 

 オンタリオ州には約18,000人の日系人と、約17,000人の日本人滞在者がいます。トロントの日系人コミュニティーは、他のコミュニティーに比べて規模が小さいものの、活発に活動して地域社会に貢献しており、門司大使が会談した副総督、州首相、州議会議長も、日系人社会がオンタリオ州で果たしている役割の重要性を評価していました。

 

 門司大使は、日系文化会館(Japanese Canadian Cultural Centre: JCCC)が主催した第7回サクラ・ガラに出席しました。このイベントでは、カナダの国内外で日本文化の普及に高い功績のあった人物に対して、サクラ賞が授与されており、今年のサクラ賞は、作家の村上春樹氏と、日系人のカナダでの苦難の歴史を描いた小説「Obasan」の作者である、日系人作家のジョイ・コガワ氏に贈られました。サクラ賞の授与式では、イベントへの出席がかなわなかった村上春樹氏のビデオメッセージが上映された後、ジョイ・コガワ氏が受賞の喜びに満ちたスピーチを行いました。また、米米クラブの石井竜也氏によるライブ・パフォーマンスでは、約350名の出席者から大きな拍手が沸き起こりました。

 

 

 

 

 

JCCCで日系人の歴史についての展示を視察する門司大使夫妻

 

 

 

 

門司大使のスピーチ (© Ray Yabuta)

 

 

 

 

 

 

石井竜也氏夫妻と

 

ゲーリー・カワグチJCCC理事長(左端)、ジョイ・コガワ氏と(© Ray Yabuta)

 

 

 

 

 

 

会場の様子

 

 

  
 

 今回の門司大使の公式訪問では、日本とオンタリオ州との関係強化について、州政府関係者と意見交換を行うことができ、非常に有意義な訪問となりました。また、オンタリオ州に進出している日系企業の活動状況を目の当たりにするとともに、企業の方々からカナダでのビジネス環境などについて話し合うことができました。カナダ各州に訪問することの重要性をあらためて感じた門司大使は、今後、他の州への公式訪問を行っていく予定です。