山野内勘二 駐カナダ大使より新年のごあいさつ
令和5年1月1日
明けましておめでとうございます。
皆様におかれては、健やかな新年をお迎えのこととお喜び申し上げます。
2022年を振り返れば、サッカー・ワールドカップでの日本及びカナダそれぞれの代表チームの善戦も記憶に新しく、また、新型コロナウイルス感染症のパンデミックからもようやく脱却の動きが見られる等、良いこともありましたが、他方でロシアによるウクライナ侵略により世界の平和と安全に深刻な脅威がもたらされ、国際秩序が挑戦を受けた年でもありました。東シナ海や南シナ海における力を背景とした一方的な現状変更の試みや、かつてない頻度でミサイル発射実験を行う北朝鮮など、とりわけ日本及びインド太平洋地域は一層の地政学的な困難に直面しています。同時に、地球温暖化や感染症による人々の生活への甚大な影響は、地球規模の課題への取組が待ったなしであるとの警告を発し続けています。
こうした厳しい世界情勢の中、2022年は一方で、日加関係が「新しい章」へと一層の発展を見せた年となりました。とりわけ、建国以来一貫して歴史的にも地理的にもヨーロッパ・大西洋との結び付きが強かったカナダが、自国を太平洋国家であると称してアジア方面に目を向け、インド太平洋に関与していく姿勢を明確に打ち出したことは注目すべきことです。
昨年10月には、ジョリー・カナダ外相の初訪日が実現し、林外相と共に「自由で開かれたインド太平洋に資する日加協力のアクションプラン」を発表しました。その後11月末には、ジョリー外相、イン国際貿易相、サージャン国際協力相、メンディチーノ公共安全相が共同で記者会見を行い、カナダの「インド太平洋戦略」を発表しました。これまで長きにわたり外交政策ペーパーを作成してこなかったカナダが、現下の地政学的な情勢を見据え、インド太平洋を掲げて分野横断的に今後の外交・安全保障政策の基本戦略を策定した意味は、非常に大きいと思います。
日加間のビジネス関連では、昨年9月、日本とカナダの商工会議所間でコロナ禍後初の対面での合同会合が行われた他、シャンパーニュ革新・科学・産業大臣が3回にわたり訪日するとともに、また、昨12月にはイン国際貿易・輸出促進・小規模ビジネス・経済開発担当大臣が、カナダ女性起業家を帯同して訪日し、経済界・産業界のトップ他との面会等に積極的に臨まれました。今や日加間のビジネスは、農業やエネルギーという伝統的な分野に加え、脱炭素社会への移行の加速化を視野に入れ双方向で大きく進展しつつあり、今後はLNG、水素やアンモニアといった次世代エネルギー、重要鉱物資源、AI・量子等のハイテク分野での日本からカナダへの投資も期待されます。また、日本食はもはやカナダの食文化の一角を占めており、トロントやバンクーバーのミシュラン・ガイドで日本食レストランが顕著な存在感を放っていることは誇らしい限りです。
本2023年は、日本がオタワに公使館を開設し、カナダと外交関係を樹立して95周年という節目の年に当たります。インド太平洋戦略を発表したカナダと、様々な分野・レベルにおける日加間の戦略的な協力関係を深めるべく、本年も一層努力したいと思っております。
本年日本はまた、G7議長国として、5月にG7広島サミットを開催し、それに合わせて一年を通し国内各地でG7関係閣僚会合を開催します。冒頭に述べた世界が直面する諸問題にどう立ち向かい、解決策を探っていくのか、G7での議論を中身のあるものにしていくため、カナダともしっかり協力していきたいと思います。
パンデミック下で続けられてきた厳しい行動制限等がなくなり、経済・社会活動を再び活性化させる機会が開かれました。人と人とが直接つながることの大切さ、温かさも再認識されるでしょう。両国間の往来が盛んになり、観光やビジネスでお互いに相手国を訪れる人が増えることも期待されます。ウィズ・コロナの時代にあって、皆様が日々安心して生活し、活動できるよう、日本大使館・総領事館ともに力を尽くして参りたいと思います。
本年も、よろしくお願いいたします。
皆様におかれては、健やかな新年をお迎えのこととお喜び申し上げます。
2022年を振り返れば、サッカー・ワールドカップでの日本及びカナダそれぞれの代表チームの善戦も記憶に新しく、また、新型コロナウイルス感染症のパンデミックからもようやく脱却の動きが見られる等、良いこともありましたが、他方でロシアによるウクライナ侵略により世界の平和と安全に深刻な脅威がもたらされ、国際秩序が挑戦を受けた年でもありました。東シナ海や南シナ海における力を背景とした一方的な現状変更の試みや、かつてない頻度でミサイル発射実験を行う北朝鮮など、とりわけ日本及びインド太平洋地域は一層の地政学的な困難に直面しています。同時に、地球温暖化や感染症による人々の生活への甚大な影響は、地球規模の課題への取組が待ったなしであるとの警告を発し続けています。
こうした厳しい世界情勢の中、2022年は一方で、日加関係が「新しい章」へと一層の発展を見せた年となりました。とりわけ、建国以来一貫して歴史的にも地理的にもヨーロッパ・大西洋との結び付きが強かったカナダが、自国を太平洋国家であると称してアジア方面に目を向け、インド太平洋に関与していく姿勢を明確に打ち出したことは注目すべきことです。
昨年10月には、ジョリー・カナダ外相の初訪日が実現し、林外相と共に「自由で開かれたインド太平洋に資する日加協力のアクションプラン」を発表しました。その後11月末には、ジョリー外相、イン国際貿易相、サージャン国際協力相、メンディチーノ公共安全相が共同で記者会見を行い、カナダの「インド太平洋戦略」を発表しました。これまで長きにわたり外交政策ペーパーを作成してこなかったカナダが、現下の地政学的な情勢を見据え、インド太平洋を掲げて分野横断的に今後の外交・安全保障政策の基本戦略を策定した意味は、非常に大きいと思います。
日加間のビジネス関連では、昨年9月、日本とカナダの商工会議所間でコロナ禍後初の対面での合同会合が行われた他、シャンパーニュ革新・科学・産業大臣が3回にわたり訪日するとともに、また、昨12月にはイン国際貿易・輸出促進・小規模ビジネス・経済開発担当大臣が、カナダ女性起業家を帯同して訪日し、経済界・産業界のトップ他との面会等に積極的に臨まれました。今や日加間のビジネスは、農業やエネルギーという伝統的な分野に加え、脱炭素社会への移行の加速化を視野に入れ双方向で大きく進展しつつあり、今後はLNG、水素やアンモニアといった次世代エネルギー、重要鉱物資源、AI・量子等のハイテク分野での日本からカナダへの投資も期待されます。また、日本食はもはやカナダの食文化の一角を占めており、トロントやバンクーバーのミシュラン・ガイドで日本食レストランが顕著な存在感を放っていることは誇らしい限りです。
本2023年は、日本がオタワに公使館を開設し、カナダと外交関係を樹立して95周年という節目の年に当たります。インド太平洋戦略を発表したカナダと、様々な分野・レベルにおける日加間の戦略的な協力関係を深めるべく、本年も一層努力したいと思っております。
本年日本はまた、G7議長国として、5月にG7広島サミットを開催し、それに合わせて一年を通し国内各地でG7関係閣僚会合を開催します。冒頭に述べた世界が直面する諸問題にどう立ち向かい、解決策を探っていくのか、G7での議論を中身のあるものにしていくため、カナダともしっかり協力していきたいと思います。
パンデミック下で続けられてきた厳しい行動制限等がなくなり、経済・社会活動を再び活性化させる機会が開かれました。人と人とが直接つながることの大切さ、温かさも再認識されるでしょう。両国間の往来が盛んになり、観光やビジネスでお互いに相手国を訪れる人が増えることも期待されます。ウィズ・コロナの時代にあって、皆様が日々安心して生活し、活動できるよう、日本大使館・総領事館ともに力を尽くして参りたいと思います。
本年も、よろしくお願いいたします。
令和五年元旦